マウスピース矯正をしっかり学ぶ!失敗しないために確認すべきこと
マウスピース矯正は、透明で目立たず、快適に歯並びを改善させる方法として多くの人々に支持されています。しかし、マウスピース矯正の特性や適応症例など、基礎知識を押さえておかなければ、決して安くはない治療費が無駄になってしまうこともあります。本記事では、マウスピース矯正の基本からメリット・デメリット、治療の流れや失敗を防ぐためのポイントまで詳しく解説します。
マウスピース矯正とは?
マウスピース矯正とは、透明なプラスチック製のマウスピースを使用し、歯を徐々に動かして理想的な歯並びに近づけていく治療方法です。ワイヤーを使わないため、見た目が自然で、装着時の不快感が少ないことが特徴です。
当院では『Sure Smile(シュアスマイル)』を採用しています。シュアスマイルは世界的な企業であるデンツプライ・シロナ社が作った新しいブランドで、マウスピース矯正のブランドとして最も歴史と知名度のあるアライン・テクノロジー社の『インビザライン』と肩を並べています。日本では2021年に発売されたばかりですが、価格が安く、高精度な3D画像で治療のゴールを確認できることに加え、vproと呼ばれる振動加速装置によって、インビザラインよりも治療期間が短く 、より効率的に治療が進むというメリットがあります。
ワイヤー矯正との違い
ワイヤー矯正は金属のブラケットとワイヤーで歯を物理的に動かすのに対し、マウスピース矯正は透明なアライナーを数週間ごとに交換して少しずつ歯を動かします。ワイヤー矯正は治療期間中に装置を外すことができないのに対し、マウスピース矯正は自分で着脱ができ、歯磨きや食事の際に装置を取り外せるのが大きな違いです。
マウスピース矯正の適応症例
マウスピース矯正は、以下のような歯並びの問題に対応できます。
- 出っ歯(上顎前突)
上の歯が前に突出していて、審美性や機能に問題がある状態
- すきっ歯
歯と歯の間に隙間があり、食べ物が挟まりやすい状態。
- 過蓋咬合
噛み合わせの際に上の前歯が下の前歯を覆い隠しすぎている状態。
- 叢生(八重歯)
歯が重なって不規則に並んでいる状態。
- 受け口(下顎前突)
下の歯が上の歯より前に出ていて、噛み合わせや発音に影響している状態。
- 開咬
奥歯が噛み合っているが、前歯が噛み合わない状態。
マウスピース矯正のメリット
マウスピース矯正には次のようなメリットがあります。
目立たない
マウスピースは透明な素材で作られており、装着中でもほとんど目立ちません。特に人前に出るお仕事をされている人や社交の場が多い人には大きなメリットとなるでしょう。
自分で着脱できる
マウスピースは自分で簡単に着脱できるため、食事や歯磨きの際に取り外すことができます。これにより、口腔内を清潔に保つことが容易です。
金属アレルギーの心配がない
マウスピースはプラスチック製のため、金属アレルギーのある方にも安心して使用できます。
マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正のデメリットもしっかり押さえておきましょう。
1日20時間以上の装着が必要
計画通りに治療を進めるためには、マウスピースを1日20時間以上装着する必要があります。着脱が自由なため、ついつい装着時間が短くなってしまうという人も少なくありません。治療期間が延びたり効果が得られなかったりする可能性があり、ある程度の自己管理能力が必要となる治療法です。
難しい症例には不向き
複雑な症例や重度の歯列不正にはマウスピース矯正が適さない場合があります。症例によって、従来のワイヤー矯正で治療する可能性があることも視野に入れておきましょう。
歯牙の移動量が多い場合
歯の移動量が大きい場合や、特殊な移動が必要な場合は、ワイヤー矯正の方が適していることがあります。歯科医師と相談して、自分の症例に合った治療方法を選びましょう。
歯周病の方は歯周病治療完了してから
歯茎が弱っている状態での歯列矯正は、歯周病の悪化や、矯正した歯並びがしっかりと固定されないなどのリスクを伴います。歯周病が進行している場合、まず歯周病の治療を完了させてから矯正治療を行う必要があります。
マウスピース矯正の治療の流れ
マウスピース矯正の治療の流れについてご説明します。歯科医院によって異なる場合がありますので、あくまで参考としてご覧ください。
- STEP1
初回診療/カウンセリング - まずは歯科医院でカウンセリングを受け、歯並びや噛み合わせの状態を確認します。マウスピース矯正での治療が適しているかどうかの判断を行います。
- STEP2
口腔内精密検査 - CTやスキャナーで口腔内の撮影を行い、歯や顎の状態を詳しく調べます。
- STEP3
診断(スキャニング) - CTや口腔内スキャナーにて、お口の中を撮影していきます。自分の歯がどのように動いて正しい位置に移動するのかを、立体的なアニメーション画像によって確認できます。
- STEP4
治療シミュレーション - 精密検査後検査結果を元に、専用のソフトウェアで、治療のシミュレーションが行われます。予測された治療後の歯並びを確認し、治療計画が立てられます。治療方法や期間、治療費のお支払方法など、納得した上でマウスピース矯正が始められるような説明があります。
- STEP5
口腔内清掃・ブラッシング指導 - マウスピース矯正を開始する前に、虫歯や歯肉炎その他の歯周疾患にならないよう、歯磨き指導及び口腔内清掃を受けていただきます。
- STEP6
マウスピース作成~通院期間 - シミュレーションに基づき、オーダーメイドのマウスピースが作成されます。マウスピースの装着は、1日20時間以上が目安になります。飲食や歯磨き時以外は装着するようにしましょう。マウスピースの交換は通常2週間ごとに交換していきます。
治療の進捗状況を確認するために、数週間おきに通院が必要です。通常の治療期間は1〜3年程度です。
- STEP7
保定期間(治療終了後〜) - きれいな歯並びを持続するために保定装置(リテーナー)を装着します。ほぼ透明で目立たなく、高い耐久性もあり、取り外し可能なマウスピース型の保定装置です。装着後、定期的な来院で、かみ合わせや歯の状態をチェックします。定期的な通院を続け、保定期間をきちんと守ることが重要です。
失敗を防ぐポイントを抑えよう
失敗を防ぐためには、以下でご紹介するポイントを必ず意識するようにしましょう。治療開始から終了までのイメージをもって計画通りに取り組むことが重要です。
自分の症例に合った矯正方法を選ぶ
自分の症例に最適な治療方法を選ぶことが、成功の鍵です。複雑な症例には、マウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が適している場合があるため、事前に歯科医師にしっかり相談し、自分の症状やライフスタイルに合った最良の選択をしましょう。
装着時間をきちんと守る
マウスピースは1日20時間以上装着する必要があります。治療計画に影響が出ないよう、しっかりと守りましょう。
治療後の保定期間も気を抜かない
治療が終了した後も、保定装置を使用して歯並びの安定を保つことが重要です。この期間をしっかり守ることで、長期的な治療効果が期待できます。
マウスピース矯正でよくある質問
よくある疑問とその解説です。
まとめ
マウスピース矯正は、見た目を気にせずに歯並びを改善できる画期的な治療法です。しかし、治療の成功には適切な症例の選定と、日々の装着時間の管理がとても重要です。歯科医師としっかり相談し、自分に合った治療方法を選びましょう。
監修医
足立 院長
・平成31年大学病院 勤務
・アーバン歯科・矯正歯科 大宮ラクーン院 院長
・口腔外科学会員
得意科目は、
・審美〈セラミック矯正やダイレクトボンディングなど〉
・入れ歯〈大学病院と同じ様な精密な入れ歯製作可能
・インプラント
・親知らずの抜歯等