デンタルサイクルとは? 歯の健康を守るための仕組みと予防法

デンタルサイクルとは アイキャッチ

「また虫歯になってしまった…」「せっかく治した歯なのに…」
そう感じた経験はありませんか?
一度歯を削って治療を始めると、多くの人が「デンタルサイクル」と呼ばれる負の連鎖に陥ってしまうことがあります。
これは、治療の繰り返しによって、ご自身の歯が少しずつ失われていく悪循環のことです。

虫歯や歯周病が進行し、治療を行うことになっても、予防を徹底することで健康な歯を維持することができます。
しかし、正しい知識とケアをしなければ、このサイクルが悪循環となり、歯を失うリスクが高まります。 

本記事では、デンタルサイクルの基本概念から、良くないサイクルを断ち切る方法具体的な予防策まで詳しく解説します。 

目次

「デンタルサイクル」の流れ

デンタルサイクルは、まるで階段を一段ずつ降りていくように進行します。

※残念ながら抜歯になってしまった場合
→ インプラント治療へ
  インプラント治療についてはこちらの記事がオススメです。
  『インプラント治療を知ろう!手術とお金、リスクを徹底解説

ステップ1:虫歯になる

生活習慣やご自身のセルフケア不足などが原因で、歯に小さな穴が空きます。

ステップ2: 削って詰める

初期の虫歯は、悪くなった部分を削り、小さな詰め物(レジンやインレー)で修復します。
この時点ではまだ、健全な歯質が多く残っています。

ステップ3:虫歯が再発する

セルフケアを怠ると、詰め物と歯のわずかな隙間から細菌が侵入し、内部で再び虫歯が進行してしまいます。
これを二次カリエスと呼びます。

ステップ4:さらに大きく削って詰める

再発した虫歯を治療するため、前回よりも大きく歯を削ります。
そのため、新しい詰め物(インレーやクラウン)にやり直します。

ステップ5:虫歯が再発し、神経に到達する

治療の繰り返しで歯が薄くなり、細菌が歯の神経まで到達してしまいます。
この状態になってしまうと、激しい痛みを伴うことが多くなります。

ステップ6:神経を抜き、被せ物になる

歯の根っこの治療(根管治療)を行い、神経を抜きます。
その後、歯全体を覆う被せ物(クラウンなど)を装着します。
神経を失った歯はもろくなり、割れやすくなります。

ステップ7:虫歯が再発する

被せ物の隙間から再び細菌が侵入し、根っこが感染してしまいます。

ステップ8:抜歯(歯を失う)

再発を繰り返し、歯を保存することが困難になると、最終的に歯を失ってしまいます。

このサイクルが何度も繰り返されてしまう状態のことを「負のデンタルサイクル」と呼ぶこともあります。 

負のデンタルサイクルは、虫歯や歯周病が進行し、何度も治療を繰り返すことで歯の健康が損なわれる悪循環を指します。
虫歯は一方通行であり、どんなに素晴らしい歯科医師によって完璧な治療が行われたとしても、元の健康な歯を取り戻すことはできません。 

負のデンタルサイクルを繰り返していくうちに、はじめは表面を少し削るくらいだった治療でも、次第に深く削られ、神経を抜き、最終的には抜歯することになってしまうのです。 

負のデンタルサイクルを断ち切るには?

負のデンタルサイクル 断ち切る方法

デンタルサイクルの悪循環を防ぎ、健康な歯を長く維持するためには、予防歯科の考え方を持つことが大切です。
予防歯科とは、「治療をするのではなく、病気を未然に防ぐ」ことを目的とした歯科医療の考え方です。
以下のポイントを押さえて、虫歯知らずの健康な歯の維持に役立ててみてください。 

正しい歯磨き習慣

  • 1日2回以上(朝・夜)の歯磨きを徹底する 
  • フッ素配合歯磨き粉を使用し、歯の再石灰化を促進 
  • 歯ブラシは1〜2ヶ月に1回交換し、清潔に保つ 
  • デンタルフロス・歯間ブラシを使い、歯と歯の間の汚れを除去する 

食生活の見直し

  • 砂糖の摂取を控える(特に間食を減らす) 
  • 酸性飲料(ジュース・炭酸飲料)を控える 
  • カルシウムやビタミンDを含む食品を積極的に摂取する 
  • キシリトールガムを活用し、虫歯の原因菌の働きを抑える 

生活習慣の改善

  • 禁煙:喫煙は歯周病を悪化させる 
  • ストレス管理:ストレスは歯ぎしりや免疫力低下につながる 
  • 適度な運動:全身の健康は口腔の健康にも影響する

定期的な歯科検診

  • 3〜6ヶ月ごとの歯科検診で早期発見・早期治療
  • 歯石除去(スケーリング)で歯周病を予防 
  • フッ素塗布で歯を強化 

予防歯科に取り組むメリット

予防歯科 メリット

予防歯科の考え方を取り入れ、定期的に通院することが大事であることは理解できても、これまでやってこなかった方々にとってはハードルが高く感じてしまうでしょう。
ここでは、予防歯科を取り入れることによるメリットについて解説していきます。 

治療費を大幅に削減できる

定期的な歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病を初期の段階で発見・治療できます。
早期治療は費用が少なく済むため、将来的に歯科治療費の負担を減らすことにつながります。 

【予防歯科を続けている場合(※通院1回あたり)】 

  • 検診と歯のクリーニング:5,000円〜15,000円 
  • 初期虫歯へのフッ素塗布やシーラント:数百円〜数千円 

【予防歯科をやらなかった場合】 

歯が痛くなってから治療に行く、というのを繰り返していると、少しずつ歯が削られて弱っていきます。最初は小さな詰め物だけで済んだはずが、やがて被せ物や神経の治療が必要になり、最終的には抜歯にまで進んでしまうこともあるのです。
通院の回数や費用もその分かさんでいきます。せっかく時間もお金もかけたのもったいないですよね。

  • 進行した虫歯の詰め物や被せ物の費用
    • 保険適用の銀歯:2,000円〜3,000円/1本あたり
    • 保険適用外のセラミック治療:5万円〜15万円/1本あたり
  • さらに悪化した場合の治療費用
    • 根管治療:2,000円〜5,000円(+詰め物の費用)/1本あたり 
    • インプラント治療:30万円〜50万円/1本あたり 

こうした繰り返しを防ぐにはどうすればよいでしょうか?

① 詰め物や被せ物のすき間から虫歯が再発しやすい
➁ 一度削った歯は元に戻らず、治療を重ねるほど歯は薄く弱くなる
③ 費用も時間も、結果的に大きな負担になってしまう

ここで大切になるのが「どんな素材を選ぶか」です。
保険の銀歯は強度がある反面、時間が経つと歯との境目にすき間ができやすく、そこから細菌が侵入して虫歯のリスクが高まります。
反対にセラミックは歯にぴったり接着でき、表面もなめらかなので汚れが付きにくく、虫歯の再発を防ぎやすい素材です。
そのため、再治療の回数が少なくなるので、オススメです!

素材で迷ったときの目安
銀歯:強度はあるが虫歯が再発しやすい面もある
ハイブリッドやCAD/CAM冠:プラスチック成分を含み、時間が経つと変色や劣化が出やすい
セラミック:清潔さと見た目が長持ちしやすく、再治療のリスクも減らせる

もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
セラミック vs 銀歯|差し歯・詰め物・被せ物、最適な治療を解説

歯を削るリスクを減らせる

初期虫歯を早期で見つけられた場合、歯を削ることなくフッ素塗布で治るケースもあります。
虫歯を早期発見したい場合は、年に3回以上の通院が推奨されます。 

歯周病を防ぎ、全身の健康を守る

虫歯だけでなく歯周病も歯を失う大きな原因です。
また、心疾患・糖尿病・脳卒中・認知症とも関係が深いことが分かってきており、予防歯科は虫歯や歯周病の予防だけではなく、全身の健康を維持することにもつながるとも言えます。 

口臭を防ぐ

虫歯や歯周病が進行すると、口臭が発生しやすくなります。
定期的に歯科検診を受け、歯石除去(スケーリング)を行うことで、口臭の原因を取り除き、清潔な口腔環境を維持できます。 

見た目の美しさを保てる

虫歯や歯周病が進行すると、歯の変色や歯ぐきの腫れを引き起こします。 
予防歯科で定期的なクリーニングを受けることで、着色汚れが少なく健康的な歯を維持でき、清潔感のある印象を保つことが可能です。 

痛みやストレスを減らせる

虫歯や歯周病が悪化すると、強い痛みや違和感が生じます。
緊急の治療が必要になることもあり、ストレスの原因になるだけではなく、日常生活やご予定にも影響するかもしれません。 

まとめ

デンタルサイクル

いかがでしたでしょうか。デンタルサイクルを理解し、適切なケアを行うことで、虫歯や歯周病を防ぎ、健康的で清潔感のある口腔環境を維持することができます。 

特に、予防歯科は生活の質にも影響を与える可能性が高いため、ぜひ取り入れてほしい習慣です。
働き盛りで忙しい社会人の方ほど、予防をしておいて良かったと思える機会が多いのではないでしょうか。 

今日からできることを始めて、デンタルサイクルを良い方向へ導きましょう! 

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大宮駅の歯医者「アーバン歯科・矯正歯科 大宮ラクーン院」の足立歯科医師をご紹介します

監修医

足立 院長

・平成31年大学病院 勤務
・アーバン歯科・矯正歯科 大宮ラクーン院 院長
・口腔外科学会員

得意科目は、
・審美〈セラミック矯正やダイレクトボンディングなど〉
・入れ歯〈大学病院と同じ様な精密な入れ歯製作可能
・インプラント
・親知らずの抜歯等

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