歯とお金の話 〜見過ごせない現実と賢い選択〜

歯の健康は私たちの生活に大きな影響を与えます。それは見た目や噛む機能だけでなく、全身の健康や精神的な満足感にも関わります。
しかしながら、歯科治療にかかる費用を考えると、治療することをためらってしまう人も少なくありません。
本記事では、歯とお金の関係について詳しく掘り下げ、治療の選択肢や費用を抑える方法を探っていきます。
歯の健康の重要性と放置するリスク

歯の健康は、日常生活で非常に重要です。
虫歯や歯周病を放置すると、以下のような影響があります。
- 食事の質の低下:歯が痛い、または噛む力が弱くなると、硬い食材を避けるようになります。これにより、栄養バランスが崩れることもあります。
- 全身の健康への影響:歯周病は心疾患や糖尿病と関連があることがわかってきています。
- 見た目の変化:歯が欠けたり歯を失ったりすると、笑顔に自信が持てなくなり、人とうまく会話ができなくなるなど、日常のコミュニケーションにも影響します。
主な歯科治療とその費用
虫歯治療
軽度の虫歯であれば、レジン(樹脂)による治療が一般的で、1本あたり5,000円から15,000円程度で済むことが多いです。
しかし、進行すると神経の治療やクラウン(被せ物)が必要になり、数万円から10万円以上かかることもあります。
当院での虫歯治療の料金はこちらです。
歯周病治療
歯周病の初期治療(スケーリングやルートプレーニング)は比較的安価ですが、進行した場合は外科的な治療が必要になり、1回あたり数万円、合計で数十万円に達することもあります。
ケースによって様々ですので、詳細についてはお問い合わせをお願いいたします。
インプラント
インプラントは失った歯を補えて、元の歯のように噛める治療として人気がありますが、1本あたり30万円から50万円が相場です。
高額ですが、長期的な使用にも耐えられるというメリットがあります。
当院でのインプラント治療の料金はこちらです。
矯正治療
歯並びを整える矯正治療は、概算で100万円前後の費用がかかることが一般的です。
最近では部分矯正やマウスピース矯正といった選択肢も増えています。
当院での矯正治療の料金はこちらです。
ホワイトニング
見た目を改善するホワイトニングは、医院で行うオフィスホワイトニングが1回あたり2万円から5万円、自宅で行うホームホワイトニングが1セット2万円から4万円程度です。
当院でのホワイトニングの料金はこちらです。
費用を抑える方法

症状が深刻なほど高くなる歯科治療費は、どんな方法で抑えることができるのでしょうか。
次にまとめている内容を参考に、活用できそうな手段を検討してみましょう。
健康保険の活用
日本の歯科治療では、保険適用が可能な治療が多くあります。
例えば、虫歯治療や歯周病治療の基本的な部分は保険でカバーされ、自己負担額は3割程度です。
一方で、歯列矯正やインプラントなどの審美性を重視した治療は保険外となる場合が多いため、注意が必要です。
分割払いの利用
高額な治療費を一括で支払うのが難しい場合、分割払いを利用する方法もあります。
多くの歯科医院では、クレジットカード払いや医療ローン(歯科医療に特化したものをデンタルローンといいます)に対応していることがあります。
詳細につきましては、それぞれの医院様にお問い合わせをお願いいたします。
医療費控除
歯科治療費も医療費控除の対象となるため、領収書は保管しておきましょう。
保険適用で補填された支払額を除き、年間で10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告で医療費控除を申請できます。
ただし、年間の所得が200万円未満のご家庭の場合には、総所得の5%が基準額になります。
例えば、所得が190万円であれば190×0.05=9.5万円以上の医療費を支払った場合に申請が可能です。
また、保険診療と自由診療どちらも医療費控除の対象となりますが、審美目的の治療は対象外となるため、よく確認しましょう。
矯正治療は以下の例に該当する場合には治療目的とみなされます。
【子どもの場合】
・不正咬合が原因で顎や歯の成長に悪影響を及ぼしている
・発音がはっきりせず、改善が求められる など
【大人の場合】
・重度の出っ歯で食べ物を噛み切ることが難しい
・受け口や開咬などにより発音が不明瞭になっている など
無料低額診療事業
無料低額診療事業とは、経済的な理由で必要な医療を受ける機会を制限されないよう、無料または低額な料金で診療を行う事業です。
社会福祉法第2条第3項第9号に基づいて実施されています。
詳細や実施施設は、各都道府県の福祉関連ページをご確認ください。
(参考:無料低額診療事業・無料低額介護老人保健施設利用事業-東京都福祉局)
定期的なメンテナンスの重要性

ここまで、歯科治療の一般的な費用とその費用を抑える方法についてまとめてきましたが、歯の治療費を抑える最善の方法は、問題が表面化する前に対処することです。
生涯でかかる治療費の低減
日本人が生涯で歯の治療にかける金額は200~300万円というデータがあります。
(参考:厚生労働省「医療費の動向」)
生活習慣病にも分類されている歯周病は日本での罹患率は約50%であり、歯周病になってしまうと糖尿病などの別の疾患を併発するリスクも高まります。
ある機関の調査によると、定期的にクリーニングや検診などの歯のメンテナンスを受けているグループの生涯治療費は、一般平均を下回るという結果が出ています。
(参考:トヨタ関連部品健康保険組合)
歯科を定期的に受診している分、途中までは一般平均より医療費が高くなっているのですが、49歳からは一般平均よりも安くなっていきます。
それ以降も年齢が上がるにつれて医療費の一般平均は大きく上昇するのに対して、メンテナンスを受けている人は金額が大きく上昇することはありません。
つまり、定期的な歯科検診を受けることで、自分では気づけなかった虫歯や歯周病の早期発見が可能になり、簡単で安価な治療で済ませることができるケースが増えます。
また、予防ケアを習慣化することで、そもそも治療が必要ない健康な歯を保つことができます。
歯科で行うメンテナンスだけでなく、ご家庭でできるケアのご相談を伺うことも可能です。
結果的にかかる費用を抑えられるよう、なんでもお気軽にご連絡ください。
定期検診の具体的なメリット
診療内容 | 費用 | メリット |
虫歯・歯周病の検査 | 数千円 | 高額治療の回避 |
歯石除去・クリーニング | 5,000〜10,000円 | 歯周病予防で全身疾患リスクを低減 |
フッ素塗布 | 1,000〜2,000円 | 虫歯の発生リスクの減少 |
※上記は概算であり、保険診療か自由診療かでも料金は異なります。
当院の定期健診の詳細はこちらからご確認をお願いいたします。
他にわからないことがある方はお気軽にお問い合わせください。
8020運動
8020運動というものはご存知でしょうか?
80歳になっても自分の歯を20本以上保っておこうという趣旨の運動で、1989年より旧・厚生省と日本歯科医師会が共同で提唱しています。
(参考:日本歯科医師会HP)
運動の目的としては、80歳になっても自分の歯で食事を楽しむことができるように、生涯にわたって自分の歯を大切にする意識を高めることです。
20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物を問題なく噛み砕くことができ、食生活を豊かに楽しむことができます。
充実した食生活を送り続けるためには、生まれてから亡くなるまでの全てのライフステージで健康な歯を保つことが大切です。
定期的なメンテナンスを受けながら、「8020」を目指しましょう。
賢い選択が未来を変える
歯の健康を維持するためには、適切な治療と予防ケアを選択することが不可欠です。
治療費は決して安いものではありませんが、その投資は健康で快適な生活を送るための重要な基盤となります。
毎日必ず使う「歯」だからこそ、不意に失ってしまうことのないよう、定期的なメンテナンスを行いましょう。
長期的な視点で考え、自分に合った治療法を選ぶために、歯科医師としっかり相談しましょう。
そして、日々のケアと定期的な検診を忘れずに行い、健康な歯を保つことで、高額な治療費を回避する賢い選択をしていきましょう。
ご不明な点やお困りごとがございましたらいつでも当院までお問い合わせください。